2011-01-01から1年間の記事一覧

 論文感想 藤田英昭氏論文 「草莽と維新」を読む

明治維新史学会編『講座 明治維新3 維新政権の創設』(編集 松尾正人氏・佐々木克氏)所収の藤田英昭氏の論文「草莽と維新」を非常に楽しく読んだ。論文の筆者である藤田英昭氏は、幕末維新史を「徳川家」の立場から、今まで知られていなかった史料を使いな…

書評 松尾正人著『木戸孝允』

木戸孝允をテーマにした本はそう多くはない。そんな中、本書は成立したての維新政権と明治という社会と木戸孝允の関係をを事細かに史料(資料)を追いながら記述している。明治初期の政治・外交史、そして木戸孝允の研究をしたい人にはうってつけの本。この著…

書評 久住真也著『幕末の将軍』

徳川第14代将軍・家茂を史料を丹念に読み解き、その実像を明らかにしようとした本書。 徳川家茂というと幕末史を勉強したいという人には避けて通れない人物である。 有名であるのに、家茂の研究書は少ない・・・。そのような現状に一石を投じている。 8代将…

書評 家近良樹著『孝明天皇と「一会桑」―幕末・維新の新視点 』

学に入学直後に生協でふと、手にした本書。本当に自分の「幕末維新観」を180度覆してくれた1冊。 現在の幕末維新研究では「常識」とされている「一会桑」の視点を取り入れ、幕末の京都情勢を改めて分析している。内容の面白さに加えて、著者の文章もとて…

書評 岩下哲典著『幕末日本の情報活動―「開国」の情報史』

「ペリー日本に来(きた)る」という「情報(ペリー来航の予告情報も含まれる)」を幕末当時の日本人(吉田松陰などの知識人や尾張家当主・徳川慶勝・開明派大名といわれる伊予宇和島の伊達宗城らの領主層、また当時を懸命に生きていた庶民など)がどのよう…

書評 『幕末学のみかた』

幕末・明治維新研究の学問的水準がわかる本。 大学時代に評者は本書を読み、本格的に幕末・明治維新史を勉強してみたくなった。 幕末・明治維新研究の第一人者がオムニバス形式でエッセイを載せており、それぞれの研究分野・スタイルが垣間見えて面白い。学…

月形半平太??

何故だかわかりませんが近頃、「月形半平太」(つきがたはんぺいた)に縁があるようで。「月様、雨が…」「春雨じゃ、濡れてまいろう」という名文句で(ある世代には?)知られている月形半平太です。 実は、この月形半平太なる人物は実在の人物ではありませ…

1冊の本に

「ブログ出版局」というサイトで、この「龍馬を語ろう〜維新雑記」を「こーひいぶれいく 維新雑記」という1冊の本にしました。書き溜めた2年分の記事を読み返しているとその1つ1つに思い出があり、感慨深いものがあります。 これも今まで自分を支えてくださ…

JIN-仁-のいる風景

「JIN−仁−」 最終章 後編。例の「偏頭痛」に襲われ、またも倒れ込む仁。 病魔は仁の身体を次第に蝕んでいきます。咲と野風は仁に残された「時間」を強く意識し、仁の身をひたすら案じるばかりでした。恭太郎は勝海舟からフランス留学を進められますが、恭…

JIN-仁-のいる風景

「JIN−仁−」 最終章 前編。東 修介の放った剣に崩れ落ちる龍馬。 東自身は龍馬に殺された兄の仇を討つために龍馬を斬った、というのですが・・・。 東修介と恭太郎はこの時に逃亡。龍馬は、東に「ワシを護るために斬ったのじゃろう」と呟き昏睡状態に陥り…

JIN-仁-のいる風景

「JIN−仁−」 最終章 前編。東 修介の放った剣に崩れ落ちる龍馬。 東自身は龍馬に殺された兄の仇を討つために龍馬を斬った、というのですが・・・。 東修介と恭太郎はこの時に逃亡。 龍馬は、東に「ワシを護るために斬ったのじゃろう」と呟き昏睡状態に陥…

JIN-仁-のいる風景

龍馬が「殺害」される運命を仁は咲に告げようとしますが、またしても「偏頭痛」に倒れる仁。 一方、恭太郎は(咲と栄を人質に)なんとしても龍馬を「仕留める」ようにとの上司の命を受けます。咲は仁の様子を汲み取り、龍馬が11月15日に「暗殺」される運…

JIN-仁-のいる風景

龍馬が「殺害」される運命を仁は咲に告げようとしますが、またしても「偏頭痛」に倒れる仁。 一方、恭太郎は(咲と栄を人質に)なんとしても龍馬を「仕留める」ようにとの上司の命を受けます。咲は仁の様子を汲み取り、龍馬が11月15日に「暗殺」される運…

JIN-仁-のいる風景

慶応3(1867)年5月、京都では第15代将軍・徳川慶喜を中心に「国是」(日本の方針)を決定する会議が開かれました。この京都会議に集められたのは薩摩「国父」(当主の父)島津久光・越前老公(前当主)/松平春嶽・伊予宇和島老公/伊達宗城・そして土佐老…

JIN-仁-のいる風景

慶応3(1867)年5月、京都では第15代将軍・徳川慶喜を中心に「国是」(日本の方針)を決定する会議が開かれました。この京都会議に集められたのは薩摩「国父」(当主の父)島津久光・越前老公(前当主)/松平春嶽・伊予宇和島老公/伊達宗城・そして土佐老…

書評 『西郷隆盛と幕末維新の政局』

西郷隆盛という名は誰もが一度は必ず耳にしたことがあろう。そして、その西郷のイメージは「懐の深い」よく肥えた「西郷どん」といったところか。 しかしその西郷イメージとは裏腹に彼の生涯には常に「謎」がつきまとう。その「謎」は西郷の身体のように大き…

書評 『西郷隆盛と幕末維新の政局』

西郷隆盛という名は誰もが一度は必ず耳にしたことがあろう。 そして、その西郷のイメージは「懐の深い」よく肥えた「西郷どん」といったところか。 しかしその西郷イメージとは裏腹に彼の生涯には常に「謎」がつきまとう。その「謎」は西郷の身体のように大…

JIN-仁-のいる風景

龍馬との距離を感じたまま長崎から江戸に戻った仁。時代は刻々と動いていました。慶応2(1866)年12月5日、一橋慶喜が徳川第15代将軍に就任します。その20日後の慶応2年12月25日、孝明天皇が崩御。 そのような世情の中、恭太郎は老中板倉勝静(いたくらかつ…

JIN-仁-のいる風景

龍馬との距離を感じたまま長崎から江戸に戻った仁。時代は刻々と動いていました。慶応2(1866)年12月5日、一橋慶喜が徳川第15代将軍に就任します。その20日後の慶応2年12月25日、孝明天皇が崩御。 そのような世情の中、恭太郎は老中板倉勝静(いたくらかつ…

JIN-仁-のいる風景

徳川「公儀」と長州との間で戦端が開かれた慶応2(1866)年6月、世情の不安定さから武蔵国を中心とした「武州世直し一揆」が起こりました。そのような世情不安の中、仁は長崎の「精得館」(せいとくかん)で講義を行なっていました。「精得館」は公儀の医療…

JIN-仁-のいる風景

徳川「公儀」と長州との間で戦端が開かれた慶応2(1866)年6月、世情の不安定さから武蔵国を中心とした「武州世直し一揆」が起こりました。そのような世情不安の中、仁は長崎の「精得館」(せいとくかん)で講義を行なっていました。「精得館」は公儀の医療…

JIN-仁-のいる風景

お初ちゃんの手術中に突然消えた仁。仁は夢とも現実ともつかない光景を眼にします。数分間の現象でしたが、この現象のせいでお初ちゃんは命を落としてしまいます。同時刻、龍馬は「寺田屋」で京都所司代配下に襲われますが難を逃れます。どうやら「歴史」は…

JIN-仁-のいる風景

お初ちゃんの手術中に突然消えた仁。仁は夢とも現実ともつかない光景を眼にします。数分間の現象でしたが、この現象のせいでお初ちゃんは命を落としてしまいます。同時刻、龍馬は「寺田屋」で京都所司代配下に襲われますが難を逃れます。どうやら「歴史」は…

JIN-仁-のいる風景

慶応元(1865)年、神戸海軍操練所閉鎖後、龍馬は薩摩へ向かい西郷 吉之助・小松帯刀らの家に世話になっていたようです。また、龍馬は小松の尽力により長崎の亀山に「社中」を設立しています。 この間、龍馬は長州にも出入りし、薩長の「和解」を画策。明け…

JIN-仁-のいる風景

慶応元(1865)年、神戸海軍操練所閉鎖後、龍馬は薩摩へ向かい西郷 吉之助・小松帯刀らの家に世話になっていたようです。また、龍馬は小松の尽力により長崎の亀山に「社中」を設立しています。 この間、龍馬は長州にも出入りし、薩長の「和解」を画策。明け…

JIN-仁-のいる風景

「和宮毒殺疑惑」で「小伝馬町牢屋敷」に収容された仁。(おそらく仁が収容された場所は牢の中でも僧侶・山伏・医師などが収容される「揚屋<あがりや>という区域であったと思われます)。 牢屋敷には「牢名主」を筆頭に「牢内役人」という独自の仕組みがあ…

JIN-仁-のいる風景

「和宮毒殺疑惑」で「小伝馬町牢屋敷」に収容された仁。(おそらく仁が収容された場所は牢の中でも僧侶・山伏・医師などが収容される「揚屋<あがりや>という区域であったと思われます)。 牢屋敷には「牢名主」を筆頭に「牢内役人」という独自の仕組みがあ…

JIN-仁-のいる風景

脚気(ビタミンB1不足により起こるむくみ、または心不全)の特効薬である「安道名津」を医学所頭取・松本良順(まつもと りょうじゅん)の依頼により、皇女・和宮(かずのみや)に献上することになった仁。 しかしこの話には、奥医師である多紀 元琰(たき …

JIN-仁-のいる風景

脚気(ビタミンB1不足により起こるむくみ、または心不全)の特効薬である「安道名津」を医学所頭取・松本良順(まつもと りょうじゅん)の依頼により、皇女・和宮(かずのみや)に献上することになった仁。 しかしこの話には、奥医師である多紀 元琰(たき …

JIN-仁-のいる風景

現代の脳外科医が幕末にタイムスリップしてしまったら―そのようなIFの世界を描いた作品が「JIN-仁-」です。前作では思いもかけず「江戸」へやってきてしまった南方 仁の葛藤、橘家との暖かい交流・坂本龍馬・勝海舟・新門辰五郎・緒方洪庵らとの時を越えた…