JIN-仁-のいる風景



「JIN−仁−」 最終章 前編。東 修介の放った剣に崩れ落ちる龍馬。

 

東自身は龍馬に殺された兄の仇を討つために龍馬を斬った、というのですが・・・。

東修介と恭太郎はこの時に逃亡。

龍馬は、東に「ワシを護るために斬ったのじゃろう」と呟き昏睡状態に陥ります。

仁は寺田屋で、急ぎ龍馬の手術に挑むことになったのです。

途中、例の「偏頭痛」に襲われながらも咲や佐分利祐輔、そして寺田屋の女将・お登勢の協力を得、無事、龍馬の手術は終了。仁たちはその後の経過をみまもることにしました。

一方、「仁友堂」では(三隅俊斉の陰謀で)「ペニシリン偽装」の嫌疑で山田純庵が奉行所からの呼び出しを受け、激しい拷問を受けていました。

「誰かが仁友堂を貶めようとしている!」 この危機に勝海舟・多紀 元琰・松本良順・福田玄孝の4人は吉原の「鈴屋」で密議を凝らします。また鈴屋の主である鈴屋彦三郎から三隅俊斉こそ仁追い落としの張本人ではないかとの情報を仕入れます。

手術から4日目―(慶応3年11月16日に手術が行なわれたので、この時点で11月20日)。必死に龍馬の治療を続ける仁たち。いまだ意識を取り戻さない龍馬に咲は野風からの手紙を読むことを提案します。すると・・・ほんの一瞬ですが龍馬が息を吹き返したのです。同時刻、東 修介は悲壮な決意を胸に京都の町を彷徨っていました。

仁は昏々と眠り続けている龍馬に自分がやってきた「未来」の話を語り続けています。

仁の熱い想いが通じたのでしょうか。龍馬が眼を覚ましたのです。

目覚めた龍馬は自分がみた「夢」―(仁がやってきた未来)の風景について語ります。

それに対し、仁は坂本龍馬が自分にとって「親友」であり「悪友」であり「ヒーロー」であった、と語ります。優しく微笑む龍馬。その直後、龍馬の容態が急変!

呼吸器を取り付けようとする仁を制止し、仁に問いかける龍馬。

「わしゃあ、ちゃんと先生の・・・生まれてくる国、作れたかのう?

先生のように、優しゅうて・・・ばか正直な人間が、笑うて生きていける国を・・・

 仁が龍馬の問いに涙ながらに、しかし力強く「はい」と答えると、龍馬は「ほうかえ」と満足そうに旅立っていきました。仁の「戻って来い! 坂本龍馬!」という叫びも空しく・・・。

慶応3年11月22日 坂本龍馬 死去 享年33.(後半のシーンの野風と咲の会話からわかります。)龍馬が死亡したのと同じ時刻、東 修介も自刃の道を選んでいました。東修介にとって龍馬は兄の「敵」であり、「政権返上(大政奉還)」の立役者であり、(その行き方や行動を)「守り抜かねばならない」人であったということでしょう。

龍馬の死や東修介の死、そして咲の涙に「自らがこの時代にやってきた意義」を問いながら、「仁友堂」に戻ってきた仁。「ペニシリン偽装」事件の顛末(三隅俊斉が「ペニシリン偽装」に関与した医師を殺害しようとした所に多紀 元琰・松本良順・福田玄孝が乗り込み、三隅俊斉を捕縛)を聞かされ、怒りに震え(自らに対する怒りでしょうか?)(脳にガン=腫瘍?)があることを理由に「仁友堂」を閉鎖しようと考えますが、仁友堂の面々の真剣な説得、故・緒方洪庵の「国の為 道の為」という言葉に心を救われた仁は仁友堂の続行を決意。さらに多紀 元琰と松本良順に頼み、医学所や医学館での講義も担当することになった仁。命が削られていくなかで持てる全てをこの時代に残そうと決意したかのようでした。

仁がこのような決意を固めるなか時代は加速していきます。

龍馬の没後、慶応3年12月9日「王政復古の大号令」が発布。これにより旧来の「幕府」・「公家」制度が廃止され「新政府」が樹立されました。12月25日には徳川勢力による薩摩屋敷焼き討ちが起こります。

明けて慶応4(1868)年1月3日、旧徳川勢力と新政府との間で「鳥羽・伏見戦争」の戦端が開かれます。一時は旧徳川勢力が新政府を圧倒したものの、1月5日になって「錦の御旗」が出現。1月7日、新政府は徳川慶喜追討令を発布。1月8日、この追討令を受けて徳川慶喜は大坂を脱出(1月12日、慶喜は江戸着)。2月12日、慶喜は上野寛永寺に閉居。

この慶喜閉居に不満を持った有志、天野八郎渋沢成一郎らは紆余曲折を経て2月23日「彰義隊」を結成。

3月6日、新政府は「江戸総攻撃」を同15日に決定。3月12日勝海舟が仁を訪れ、「江戸は火の海になるのかい」と仁に訊ねる海舟。仁は優しく「それは勝先生次第じゃないですか」と答えました。

3月13日・14日両日の西郷―勝会談で、江戸総攻撃は中止され、江戸は火の海にならずに済みました。これにはイギリス公使・パークスの尽力(圧力)があったといわれています(3月15日、新政府は「五箇条のご誓文」を発布)。

恭太郎は(龍馬を殺害しようとした)仲間に「彰義隊」に参加するよう勧められます。

残り少ない時間で仁友堂の仲間に自分の全てを伝えようとする仁。しかし「あの偏頭痛」に襲われ、またも斃れこんでしまいます・・・。

仁の運命は? 恭太郎・咲・野風の運命は? あの胎児型腫瘍の正体は? 仁は(命尽きることなく) 現在へ戻れるのでしょうか・・・?