書評 家近良樹著『孝明天皇と「一会桑」―幕末・維新の新視点 』



学に入学直後に生協でふと、手にした本書。本当に自分の「幕末維新観」を180度覆してくれた1冊。

現在の幕末維新研究では「常識」とされている「一会桑」の視点を取り入れ、幕末の京都情勢を改めて分析している。内容の面白さに加えて、著者の文章もとてもわかりやすい。

著者の「一会桑」論は「薩長盟約」論にも広がりをみせる。「薩長盟約」(薩長同盟)とは何を目的としていたのか!? 「倒幕」とは結局何をどうすることだったのか!?

そのプロセスは!? 坂本龍馬は結局何をしたのか!?

一次史料を精読することによって、これらの謎を解きあかしてくれている。著者が語りかけてくるかのような感覚を覚える。史学科の出身ではないけれど、歴史を勉強したい人・史料解釈の醍醐味を味わいたい人にもおすすめ!

本書を読んで、「一会桑」についてもっと詳しく知りたくなった人には著者の

幕末政治と倒幕運動もおすすめ!